第五八代横綱・千代の富士(1955〜2016)は、「ウルフ」の異名を取り、気迫溢れる取組で人気を博した。妻の秋元久美子氏が、家族思いの横綱とともに過ごした日々を振り返る。
親方が亡くなってから、もう8年になりますが、いまだに信じられなくて、「また地方場所や巡業に出かけているのかな」と、思うときもあります。
私が親方と出会ったのは、昭和55(1980)年の九州場所でした。それほど相撲に興味があったわけではないのですが、兄の知り合いの方を通じて、たまたま一緒にお食事する機会がありました。
親方は、私が思い描いていたお相撲さんのイメージとは正反対。話題が豊富で、すごくユニーク。当時は漫才ブームだったので、そのギャグを真似していたのですが、私はオリジナルだと思い込んで、「この人、お笑いの道に行ったほうがいいんじゃないか」と思ったぐらいです。
その後、お電話をいただいて、お付き合いすることになりました。ただ、デートではいつも知り合いや後援会の方が一緒にいましたから、噂されることもなかったんです。
翌年、親方が初優勝して大関になり、さらに横綱に出世すると、“ウルフ・フィーバー”が起きました。「とんでもない人とお付き合いしているんだな」と思い、ちょっと怖く感じるときもありました。昭和57年の結婚式には、3000人もの方が集まってくださいました。
でも実は私、新婚旅行には行っていないんですよ。お腹に長女がいたのと、ぎっくり腰になってしまったこともあり、お医者様から安静にしているように言われたんです。ただ、新婚旅行といっても部屋の旅行みたいな感じで、皆さんと一緒に行くことになっていました。「俺は行ってくるからな」と親方に言われて、私はお留守番でした(苦笑)。
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source : 文藝春秋 2025年1月号