いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
2025年8月中旬、日本マクドナルドが実施した「ハッピーセット ポケモンカード」キャンペーンは、初動から大規模な混乱を招いた。通常のおもちゃ配布に加え、3日間限定でポケモンカード2枚が付属する企画だったが、開始直後から店舗前に長蛇の列が発生し、売り切れが相次いだ。

それは単なる人気の表れではなく、主として転売目的の購入者による買い占めとルール無視が引き金だった。ひとり5セットまでの購入制限を超える買い方、モバイルオーダーを使った複数回の注文、レジへのたび重なる並び直しが横行した。その結果、本来の対象である子ども連れのファミリー層は入手できず、一般客も食事ができない状況に陥ったのだ。
やがてフリマサイトには未開封のポケモンカードが高額で並び、同時にハンバーガーやポテトが食べられないまま放置・廃棄されている写真がSNSで拡散された。転売業者が目当てのカードを出品し、食品を廃棄したと推測される。
これらへの批判を受け、マクドナルドは公式に謝罪文を発表。同社はキャンペーン直前、フリマアプリ「メルカリ」と連携し、転売監視や禁止出品への対応を強化すると表明していたが、結局は混乱を防げなかったためだ。さらに、9月のハッピーセットについては、発売初日のモバイルオーダーや宅配サービスは停止している。なお、騒動直後にメルカリはコメントを出していない。
そもそもマクドナルドがポケモンカード企画の直前に声明を出したのは、人気キャラクター「ちいかわ」や、ゲーム『マインクラフト』とのコラボイベントで、騒動となった前例があったからだ。
いずれのケースも、ファンやコレクターが複数セットを購入し、一部の転売業者が買い占めを行った結果、通常のファミリー層が入手困難となった。一方でフリマサイトでは高値の転売が相次ぎ、定価の数倍以上で取引される事態が発生した。そうした経緯をふまえ、今回のポケモンカードでは対策を講じたはずだが、想定を大きく上回る需要と転売圧力に押し流されたのがこの事件の経緯だ。
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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

