いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
日本の政府観光局(JNTO)の発表によると、コロナ禍前の2019年は、約3200万人の訪日観光客だったのに対し、2024年は、約3700万人。2025年は4000万人を超えると推測されています。
かつては、海外からの観光客は、日本にとって好ましいものでした。人数も多くなく、各地のお決まりの名所を訪ね、高級なホテルに泊まり、たくさんのお土産を買って帰る、ある意味で管理しやすい観光客だったのです。しかし、インバウンド需要が急速に伸び、観光公害とまで言われるようになりました。
私は、アフリカのマリから日本にきて30年以上京都に暮らしていますが、ここまで混んでいる町を見るのは初めてです。観光客は金閣寺や清水寺だけでなく、地域住民が利用するスーパーや地元の飲食店、さらには住宅街に点在する銭湯など日常生活圏内にも押し寄せている。
かつての京都では、観光地と住民の生活圏はある程度分離されていました。しかし、民泊の普及やSNSによって、観光地以外の魅力が世界に伝わったため、その境界線は曖昧になりました。それによって住民はこれまで経験したことのないストレスを感じるようになったのでしょう。こういったことは日本中で起きています。

日本ではそういった違和感が起こると我慢するか、遠回しに指摘することが多い。特に京都の人は、物事を直接指摘することに、ためらいを感じる気質があります。
まだ、私が大学院生の頃の話です。当時、自宅に友人を招いてパーティーをすることが多かった。すると、その翌日になると決まって近所の方から「にぎやかやったわ」と笑顔で言われるのです。「この町に受け入れてもらえた」と素直に喜んでいました。そんなある日、同じように友人たちを集めて遊んでいたら、警察がやってきて、「近所から苦情が出ている」と叱られてしまった。この時初めて、「にぎやか」は遠回しの「うるさい」だったことを知りました。
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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

