この夏のワシントンをひとしきり騒がせたのが、ヒラリー・クリントン前国務長官のオバマ外交批判だった。
「大国には組織原則が要る。『バカなことをしない』は組織原則でもなんでもない」
「バカなことをしない」はオバマがブッシュ政権のイラク戦争という暴挙を批判して述べた言葉である。オバマは、米兵をイラクとアフガニスタンから撤退させることを公約に掲げ、当選した。
しかし、リビア、シリア、イラク、ウクライナと内戦と虐殺が続き、それに対してオバマ政権が効果的な手を打てない姿が米国の弱さと退却と受け取られるようになった。ロシアと中国が「力は正義なり」といわんばかり、米国に挑んでいる。それなのに「バカなことはしない」だけでいいのか……。クリントンはそれを鋭敏に捉え、オバマとの違いを出そうとしたのだ。次の大統領選挙をにらんでのことである。
ただ、この苛立ちはあくまで外交支配階層のそれであって一般国民はむしろオバマの考えに近いのではないか。
シリアに軍事介入をしなかった決断は、少なくともその時点では、国民の気持ちと響き合っていたことは間違いない。
にもかかわらず、世論調査では58%もの国民がオバマの外交政策に「不満」と答えている。なぜなのか?
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source : 文藝春秋 2014年10月号