逆襲のウクライナ

小泉 悠 東京大学先端科学技術研究センター准教授
高橋 杉雄 防衛研究所防衛政策研究室長
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小泉「ロシアの兵力は本当に尽きたのか?」

高橋「反攻成功の鍵はタイミングの見極め」

 小泉 ウクライナ侵攻の最中、ロシアは5月9日に対ドイツ戦勝記念日を迎えました。僕はこの15年ほど、戦勝記念日の軍事パレードをチェックしていますが、今年は特にめちゃくちゃ盛り下がった印象を受けました。何よりもまず、参加人数が少なかったですよね。普段はクレムリン前の「赤の広場」が人でびっしりと埋め尽くされるのですが、隙間があいてまばらな感じでした。

 行進している人間を見ても、本物の軍人は半分くらいで、残りは士官学校の生徒と治安部隊のように見受けられた。「今歩いてきたのはコサック軍団です」「こちらはモスクワ周辺の駐屯地の部隊です」といった、紹介のアナウンスもありませんでした。これはかなり異例のことです。現実問題として、戦勝記念日に軍人にパレードをさせるほど、兵力の余裕がなかったのでしょうね。

小泉悠氏 ©文藝春秋

 高橋 パレードでは兵器も披露されましたが、現役戦車の姿は一切ありませんでした。戦車で披露されたのは、第二次世界大戦で活躍したT-34のみ。しかも1両だけだったため、かなり目立っていました。

 そもそも、戦勝記念日の一番の目的は、ナチスを倒したお祝いであるわけです。かつてナチスが恐れた戦車にスポットライトをあてた点において、史上稀に見る成功を収めたと言っていいのではないでしょうか。

高橋杉雄氏 ©文藝春秋

 小泉 でもね、ロシア軍はT-34をかなりの数持っています。現役の戦車は戦場で必要だから出せないのは分かりますが、旧式の戦車をなんで1両しか出さなかったのか、不思議で仕方ありませんでした。

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source : 文藝春秋 2023年7月号

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