日産は再び欧州「FCA+ルノー」の餌食になるか

井上 久男 経済ジャーナリスト
ビジネス 社会 企業

ゴーンの去った日産を新たな試練が襲う

ルノーのスナール会長 ©時事通信社

「『ゴーン戦略の亡霊』がいまになって現われたようなものだ」

 自動車産業の世界再編を加速させる大きなニュースを聞き、ある日産自動車元役員はそう言った。

 5月27日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、フランスのルノーに経営統合を提案したと発表した。両社の世界販売台数を合計すると約870万台。統合が実現すれば世界第3位の自動車メーカーとなる。

 FCAは2009年、イタリアのフィアットが経営破綻したアメリカのクライスラーに資本参加、2014年に完全子会社化したことで出来た持ち株会社だ。登記上の本社はオランダにある。傘下の旧クライスラー社は北米中心に事業を展開、「ジープ」ブランドで知られ、大型SUVに強い。フィアットは欧州や南米で存在感を持ち、高級ブランド「アルファロメオ」も抱える名門だ。

 この統合計画は、ルノーと資本提携する日産自動車、そして日産が34%の株式を保有する三菱自動車の命運に大きな影響を与える。

 昨年11月、日産前会長のカルロス・ゴーン氏が逮捕されて以来、ルノーに対して目に見える形での対等な関係への改善を求めてきた日産と、早い時期の経営統合を迫るルノーとの間にすきま風が吹き始めていた。実際、日産の西川(さいかわ)廣人社長に拒否されたが、ルノーのジャンドミニク・スナール会長は4月以降、複数回に亘り経営統合を提案していた。

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source : 文藝春秋 2019年7月号

genre : ビジネス 社会 企業