◆贈呈式でのスピーチ全文
私がしゃべると炎上するので、気をつけたいと思います。昨日もなんか、物議を醸していました。
受賞会見で叩かれ、「バリバラ」に出ては叩かれ、ま~あ、叩かれる、叩かれる。
あと、なんだっけ、あ、そうそう、「文学の普遍性を壊した」とか、「芥川賞を凌辱した」とか、「文学を名乗らないでほしい」とも言われました。
まあ、でも、昔、ナベツネが言ってました。「悪名は無名に勝る」と。だからまあ、話題になるだけ、ありがたいと思っております。
えーっ、さて、「読書バリアフリー」を訴えております。そろそろ聞き飽きた?(笑)今日は出版界のみなさま、勢ぞろいということで、あらためて環境整備をお願いしたいと思います。そして、電子書籍を出さない作家さんにお手紙したことがあるんですけれど、私がお手紙したのは、宮部さんとか高村さんではないんです。私がお手紙したのは、ピーーー先生です。
「ハンチバック」は私が産んだ小説ですが、種付けをした「父」と言える存在が二方います。ひと方は、私の懇願のお手紙をスルーなさった出版界。もうひと方は、私のライトノベルを20年落とし続けたライトノベル業界。この場をお借りして、御礼申し上げたいと思います。その方々がいなければ、私は今、ここにはいません。
怒りだけで書きました。「ハンチバック」で、復讐をするつもりでした。私に怒りを孕ませてくれてどうもありがとう。でも、こうして今、みなさまに囲まれていると、復讐は虚しい、ということもわかりました。私は愚かで浅はかだったと思います。怒りの作家から愛の作家になれるようにこれからがんばっていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
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