筋金入り

短歌

エンタメ アート
©アフロ

金継ぎの金溶くときに兆すのは、予感ではなくかすかな頭痛

誰も来ない神殿の床の模様へと耳をあて空腹をしのいだ

辞書のなか国の古名を知ったなら仇討ちに手を貸さなくていい

白日の看守がいつも持っている安全ピンのようなやさしさ

退屈も筋金入りなら悪くない 黒スグリの実を踏んで歩いた

新しい燔祭(はんさい)へ合わせるはずの手で掬う黄金(きん)色のカタラーナ

新月に呼ばれて頷いたときの視力のなかの湖(うみ)薄かりし

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source : 文藝春秋 2023年11月号

genre : エンタメ アート