適応障害を乗り越え掴んだ「新しい皇后のかたち」
前日の雨が嘘のように晴れ渡った今年6月17日のインドネシア。日本とインドネシアの国旗をはためかせる黒塗りのベンツが、警察車両に先導されながらジャカルタの街を疾走している。後部座席に座る天皇陛下と皇后雅子さまは、窓の外に広がる景色を眺めて、穏やかな笑みを浮かべていた。
だが、心の中では、この先1週間の旅程を無事に果たせるか、一抹の不安がおありだったに違いない。適応障害で病気療養中の雅子さまが、国際親善のために外国を訪問されるのは、約21年ぶりのことだ。日本を立つ直前も緊張からか、笑顔に力がないご様子だったという。
皇室ジャーナリストが語る。
「出発前日に突然、宮内庁から、雅子さまの主治医である大野裕氏のインドネシア同行の取り消しが発表されたので、雅子さまも海外訪問に自信を深めていらっしゃるのだと思っていました。ただ一方で、同じ日に『ご負担軽減のため、お見送りの取材設定を中止する』という旨の発表もされたので、『やはり、まだ体調が万全ではなく、予断を許さない状況なのか』と、不安が頭を過ったのもたしかです」
天皇陛下と雅子さまを乗せてジャカルタを走る車は、夕方に宿泊先の「ホテル・インドネシア・ケンピンスキー」に到着した。ジャカルタ市内の景観を眺望できる五つ星のホテルだ。正面には、巨大な円形の噴水が設置され、周囲に両陛下を一目見ようと大勢の人が集まり歓声を上げていた。
ホテルのロビーでは、日本人学校の生徒ら30人近くが集まり、両陛下を歓迎している。生徒を引率した「ジャカルタ日本人学校」校長の緒方克行氏が語る。
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