何も否定せず、ひたむきに将棋に向かう——八冠を達成した藤井聡太の素顔
死闘の余韻は消えていた。
勝負の現場としての役割を終えた対局室に入り、敗れた者の肩越しにカメラを構える。
覗き込むレンズの向こう側で藤井聡太は微笑を浮かべていた。
難解な局面を軽快に語り、天井を見上げて黙考する。そして再び14歳の頃から変わらない視線を盤上に向ける。勝利を誇る表情ではない。小さな子供が大好きな玩具で遊んでいる時の顔だった。さらに上まで登れなくなった地点に到達しても、藤井が纏っていたのは周囲の喧騒から離れた柔かさだった。
2023年10月11日夜、京都市での第71期王座戦五番勝負第4局で王座の永瀬拓矢に勝利した藤井は3勝1敗で王座を奪取した。
名人、竜王、王位、叡王、棋王、王将、棋聖を持つ21歳は最後のタイトルを得て将棋界初の八冠独占を果たしたのである。
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source : 文藝春秋 2024年1月号