地方自治ジャーナリストの葉上太郎さんが全国津々浦々を旅し、地元で力強く生きる人たちの姿をルポします。地方は決して消滅しない――
日本最強の海女集団
「潮の流れが速いところで潜ると、水圧で押されて頭がブルブル震え、水中メガネが持っていかれそうになります。岩にしがみついて進むのですが、手を離したらスーッと流されてしまいます。でも、そんな場所に限ってアワビがいるんです」
38歳の海女が話す。
石川県輪島市の「海士町(あままち)」は、海女漁を中心にして暮らしてきた300軒ほどの漁師町だ。200人近くが海女の技術を持っているといい、1つの地区としては全国で最も多い。
泳ぐ力や漁の技術は、他地区の追随を許さない。かつては、請われて北海道から九州まで出稼ぎに行く人がいたほどだ。つまり、全国最強の海女集団なのである。
理由は、日本海の沖合に漁場があり、自然条件が厳しいためだ。
だからだろうか、ひと呼吸で20〜30メートルも潜る人が存在し、「大海女」と呼ばれる。38歳の海女はそうしたうちの1人である。
しかも、この海域のアワビやサザエは味が違う。「潮の流れが速いので身が締まっています。味も濃いんですよ」と57歳の海女が誇らしげに語る。彼女も大海女の1人だ。
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source : 文藝春秋 2019年9月号