偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム。
★高島忠夫
俳優の高島忠夫(たかしまただお)(本名・高嶋忠夫)は、ジャズ・ミュージシャンとして出発、映画に転じて活躍し、司会者としてもファンを楽しませた。
1976(昭和51)年からの曲当て番組『クイズ ドレミファドン!』では初代司会者を務め、よく通る声と笑顔で人気番組に押しあげる。高島の「イェーイ!」は流行語になった。
30年、兵庫県に生まれる。祖父は資産家で、道楽者の父親を「反面教師」にして育った。成績もよく旧制第一神戸中学(現・神戸高)に入学し、同級生に小松左京がいた。ところが神戸高時代にジャズに夢中になり退学。関西学院高校から同大学に進むが、2年のとき新東宝ニューフェイスに合格して中退した。
52年の『恋の応援団長』でデビューして100本以上の映画に出演する。60年には菊田一夫に誘われて東宝に移籍し、ミュージカルの舞台でも活躍しはじめる。62年の東宝映画『キングコング対ゴジラ』では主演を務めた。
63年、宝塚スターの寿美花代と結婚する。たまたま一緒になったタクシーのなかで、寿美が「東宝の給料はおいくら」と聞いたのを、高島が「これはプロポーズかな」と思ったことから、結婚を意識したという。71年からの料理番組『ごちそうさま』は、2人で司会を務め28年の長寿番組となった。
2人の息子たちも俳優として活躍したので、「絵に描いたような芸能一家」といわれた。しかし、幸福そうに見える高島家にも大きな試練がいくつもあった。
生後5か月の長男・道夫が、風呂の底に沈んでいるのが発見されたのは、64年8月だった。物取りの仕業と思われたが、17歳のお手伝いの証言が不自然で、警察が取り調べると犯行を自白。「あとからきた看護婦が厚遇されているのに嫉妬した」と認めた。
「ひと月は、ぼうっとして何もできませんでした。その後、一夜たりとも道夫のことを忘れたことはありません」
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source : 文藝春秋 2019年9月号