衆院3補選報道に漂う生温さ、番記者が政治家に屈するとき、大谷礼賛という「エモい記事」

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手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!

★衆院3補選報道に漂う生温さ

 それで終わり? 政治記事を読むたび、呆気にとられる昨今である。

 例えば4月17日の朝刊。前日に告示された衆院3補選を巡る記事が並ぶが、見出しを読めば事足りる。

「首相の命運 握る島根」「総裁再選戦略を左右」が毎日。「政権運営 命運握る島根」が日経。「保守王国 自民に逆風 島根1区」「首相の解散戦略 左右」が読売。

 唯一の与野党対決型となった「島根」はともかく、「命運」から「左右」「握る」と、よくもここまで同じ用語を使うものだ。しかも、なんだか永田町の恒例行事を伝えるが如き生温さが漂う。政治記者の危機感はその程度か、と思う。

 そもそも、島根1区を除けば東京15区も長崎3区も候補者擁立さえ見送る不戦敗を強いられた自民党である。よほど有権者の審判が怖いとみえるが、それでどうして岸田文雄首相が衆院解散を断行できる余地があると思えるのか。ひょっとすると首相は、我々が想像もつかぬ脳天気さをお持ちなのかもしれないが、それならそう書いてほしい。おそらく今一番大事な情報だろうから。

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source : 文藝春秋 2024年6月号

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