手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!
★「重鎮」を持ち上げる無責任
とりあえず群れる。酒の肴に時の人を呼び、昔話にかこつけて説教をぶつ。集まる記者団に手前勝手な政局予想をかまし、臆測記事を書いてもらう。どうやらこれが、引退してなお生臭さを失わぬ自民党の人々の長生きの秘訣みたいだ。
5月14日夜も、小泉純一郎、山崎拓、武部勤、亀井静香の4氏が銀座の日本料理屋に集合した。元職で言えば、首相と幹事長2人と政調会長という布陣。呼ばれたのは石破茂氏だが、小泉氏とは防衛庁長官として初入閣させてもらった間柄。まさに恰好の肴役と言えよう。
会の中身は、速報記事の見出しを読めば丸わかりだ。時事通信は「小泉氏『義理と人情を大切に』 自民総裁選へ石破氏に助言」とする。朝日新聞デジタルも「石破氏招き『総裁選に立つべし』 小泉元首相・山崎元副総裁らが会食」と記す。
NHKによると、ブリーファーは山崎氏だったらしく、「今の政局に鑑みて石破氏が次の自民党の総裁選挙に立つべしという話もあった。石破氏は『当面、岸田政権を支えることに徹したい』と言っていた」と述べたそうな。押したり引いたりして平地に波瀾を起こす手口がバレバレと思うが、それにまんまと引っかかる政治記者はどうかしている。
朝日は「秋の総裁選に向けた重鎮たちの思惑をめぐる臆測が飛び交いそうだ」と書くが、そもそも臆測の種を撒き散らすのは自分たちではないか。「重鎮」と持ち上げる辺りにそこはかとなく共犯関係が浮かぶ。
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