私たちの性は、性染色体の組み合わせで決まる――生物学の教科書にはこう書かれています。X染色体を2本もつXX型だと女性に、X染色体1本とY染色体1本をもつXY型だと男性になる、と。
当たり前のように教えられてきたこの事実が、今、科学の進歩により揺らぎ始めています。
性決定の仕組みをもう少し具体的に説明すると、Y染色体をもつと男性に、Y染色体をもたないと女性になります。なぜY染色体の有無で性が決定されるかというと、Y染色体には「性決定遺伝子」が存在しているからです。
そして、諸説はあるものの、科学(医学)的な見解からは、ヒトの性のデフォルト(原型)は女性で、男性は女性をカスタマイズ(設定変更)してつくりだした「模型」といわれています。Y染色体はそのカスタマイズに必須のツールで、Y染色体がなければ男性をつくりだすことができないのです。

ところで教科書に掲載されているX染色体とY染色体の写真を見ると、X染色体に比べてY染色体はとても小さく、実際に遺伝子の数も10分の1ほどしかありません。しかし、これまでの研究から、X染色体とY染色体は、元々は相同な一対の染色体であったと考えられています。
なぜY染色体は小さく、遺伝子も少なくなったのでしょうか。
ヒトの染色体数は一般的には46本です。しかし、そのままの本数で精子と卵子が受精すると、染色体数は92本になってしまいますので、「減数分裂」を行って染色体数を半数に減らします。
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