中国とローマをつなぐ道にあり、古来、交易の要衝として栄えたウズベキスタン。なかでも往時の美麗な姿を残すサマルカンドの街を、写真家・阪口克が巡った。

古都サマルカンドの中心にある「砂の場所」を意味するレギスタン広場。イスラム教で聖なる色とされる青いタイルで彩られた、マドラサ(神学校)が建つ

アフラシアブの丘に広がるシャーヒ・ズィンダ霊廟群は、11世紀から15世紀にかけて建てられたモスクや霊廟が美しく連なり、今も多くの巡礼者が訪れる

建築家ウスト・アリ・ネセフィによるという霊廟内部は壁一面を精巧な幾何学模様のタイルが覆う。青色のタイルは中国の陶磁器とペルシアの顔料が融合して生まれた
名跡にも食卓にも東西文化が交差する
古の旅人は、敦煌の楼門の向こうにどんな世界を夢見ただろう。『西遊記』では孫悟空も難儀した火焰山を越え、長く険しい天山南路の果て。陽炎ゆらめく大地の向こうに忽然と現れるオアシス──それがシルクロードの宝石、青の都「サマルカンド」だ。
険しい山岳や乾燥地が多いウズベキスタンにあって、南東部のサマルカンド周辺は水に恵まれ、古くから農業が盛んだった。7世紀の旅行記『大唐西域記』には「土地は肥沃で農業が十分行きとどき」と記されている。
この中央アジア屈指の古都は、東西の文化が交差する地。8世紀、アラブ勢力の到来とともにイスラム文化が根づき、13世紀にはモンゴルの侵攻で一度は壊滅的な打撃を受けるも、14世紀に英雄ティムールの手により壮麗な都市へと再生を遂げた。街の象徴レギスタン広場や、青い回廊シャーヒ・ズィンダ霊廟群には、幾世紀にもわたる祈りの歴史が今も積み重なっている。街を彩るサマルカンド・ブルーのモザイクタイルの輝きは、時代を超えて旅人の心を惹きつけてやまない。
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