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市民が当事者意識を持つためにも徴兵制は必要

 本書では軍と市民の関係が、歴史をさかのぼって詳述される。市民が軍に対する関心を失ったことで大帝国が潰えてしまう――たとえばローマ帝国の事例はまことに示唆に富む。

『21世紀の戦争と平和 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(三浦瑠麗 著)

「市民が軍は自分たちと同じ国民だという意識を持つには、残念ながらこのままではだめです。いざ戦争を選べば自分も動員されるかもしれないという感覚がないと。そのための徴兵制というアイデアは暴論や極論に聞こえるかも知れませんが、私としては自然な解なんです。市民の当事者意識こそが、なにより平和のために大切だからです。単なる思考実験ではなく、現実的な政策提言のつもりです」

 グローバル時代にあって、国家という単位にいかほどの意味があるのか。本書の後半では、様々な国が、国家のありかたを模索する様がレポートされる。

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「国民国家というと、なんだか古臭く聞こえますが、リアリズムとしてはいまだ無視できません。たとえば、公共サービスの担い手として世界の富豪、ビル・ゲイツやジェフ・ベゾスに期待できるでしょうか。富の再配分や国土の安定の責任主体として、国家にはまだ実際的な意義があります。安定はタダではありません。そのコストをなるべく多くの国民で負担しようというわけです。でも、誰もが国家に参画せよと全体主義的なことを言いたいわけではありません。良心的兵役拒否のような仕組みは必要です。国家と郷土に対して、保守とリベラルの双方にいろんな意見があるはず。だから、この本にもどんどん反論や批判を寄せてほしい。期待して待っています」

みうらるり/1980年、神奈川県生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修了。国際政治学者。山猫総合研究所代表。著書に『シビリアンの戦争』『「トランプ時代」の新世界秩序』『あなたに伝えたい政治の話』などがある。