ワインの歴史は古く、紀元前5000年頃の遺跡から醸造の道具らしきものが見つかるという。ヨーロッパ全土に長い時間をかけ広まり、根付いたワインについて知ることは地理、歴史、言語、化学、文化、宗教、芸術、経済、投資等の幅広い知識を包括的に学ぶことに等しい。ケンブリッジ、オックスフォードといった名門校や、ゴールドマンサックスのような一流企業においてもワインに関する教育が実施されているという。その知識は、趣味にとどまらない重要な〈教養〉なのだ。
その〈教養〉をコンパクトに、面白い読み物の中に詰め込んだ本が好調だ。
「編集を手がけた『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』のヒットを受けて、ほかにも〈教養〉として紹介できるよいジャンルを考えていたとき、思い浮かんだのがワインでした。美術と同様に関連する知識の幅が広く、また、経営者をはじめとするエグゼクティブにはワインに詳しい方が多いので、知っておくとビジネスシーンで得することも多い。学ぶメリットが大きいな、と」(担当編集者の畑下裕貴さん)
著者は大手オークションハウス「クリスティーズ」のワイン部門で9年経験を積み、その後、経営者、弁護士など、ハードな交渉を繰り広げる人々にワイン知識を伝授している。たしかな経験に基づく言葉には、強い説得力がある。
2018年9月発売。初版8000部。現在10刷6万5000部