“女の人がほっとかない”役といえば?
次に碓井氏が選んだのは「半分、青い。」で祖父役を演じた中村雅俊(68)。
「紆余曲折の人生を歩んでいくヒロインを、ずっと見守っていたのが祖父役の中村雅俊さんでした。劇中では五平餅作りの名人でしたが、時折ギターを弾き、フォークソングを歌ったりする姿は中村さん本人と重なりました」
コラムニストの今井舞氏は異色の3人を挙げた。
「『あまちゃん』のピエール瀧(52)がよかったと思います。寿司店を切り盛りする大将役なんですけど、黙々と寿司を握りしゃべらない。時々、少しニヤッとしたりすることで笑いが起こるみたいな感じで、ピエール瀧が映ると、“待ってました!”と声が掛かるような役どころになっているのがよかったですね」
“女の人がほっとかない”役をやらせたら、やっぱり上手いのが火野正平(69)。
「『芋たこなんきん』の火野正平は、ヒロインの旦那の兄役で、寅さんのようにフラッと予告なしに現れて、酒を届けてくれたりする。キザでかっこいいんだけど、女性問題を起こしてしまう。飄々として捉えどころがなく、ヒモっぽい火野正平がとても懐かしいですね」
ひと味違った人が新風を吹き込む
最後に挙げたのが、京本政樹(60)。
「朝ドラって、旦那とか弟とかおじさん役にわりと風来坊的な人が据えられることが多くて、『ちりとてちん』の京本政樹はまさにそんな感じでした。いつもド派手なアロハシャツにサングラスで、どんな仕事をしているかわからない。でも、実は誰よりもいろいろなことを見抜いている役柄。ヒロインのいいところには彼だけが気づいていたりして、役者が演じ甲斐あるキャラクターに仕上がっていました。
どの朝ドラでも、物語が転がるときのきっかけは、こんな人たちが担っていることが多いですよね。どっしりとした役柄ではなく、ひと味違った人が新風を吹き込むことで物語が動いていくんだと思います」
波瀾万丈のヒロインをひきたてるのは、浮き世離れした魅力に富む“名脇役おじさん”なのである。