連盟側の好き嫌いで恣意的な選考が行われていないか
また、こういった不当な扱いへの反論も含め、與那嶺サイドがSNS等でハッキリと自身の意見を発信するタイプであることにも連盟としては眉をひそめているという。
「時には代表選考の中で、SNS等に連盟に対する意見をアップしたことを理由に、選考から外すような意見がでたこともあったと聞きます」(前出・専門誌記者)
そういった経緯もあって、今回の「代表外し」の動きにつながっているのだ。
「JCFの中には、露骨に『與那嶺選手のことは快く思っていないので、おとなしくしていてほしい』と口にする人までいます。もちろん個人の性格で合う、合わないはあるでしょうが、それを選考に持ち込むのは大きな問題だと思います」(前出・専門誌記者)
当たり前の話だが、選考に関しては公平性・公正性がなにより重要視されるべきだ。連盟側の好き嫌いで、選手の実力を無視した恣意的な代表選考が行われるとしたら、それは言語道断の暴挙である。
「フェアな基準を考えてほしい」
五輪代表の選考基準などについてJCFに質問したところ、「相手方と係争中のため、お答え出来ません」との回答だった。
與那嶺本人は一連の連盟の対応に関して、こう憂慮を述べる。
「自転車競技は欧州が本場で、そこで走らなければ日本の競技レベルは上がっていかないと考えています。でも、このままでは欧州のレースで活躍すればいいのか、日本国内の大会での優勝を目指せばいいのか、選手が何を目指すべきなのかがわからなくなってしまう。連盟にはそこまでしっかりと考えた上で、フェアな基準を考えてほしいと思います」
東京五輪まであと1年となる今年は、各競技でも代表選考が本格化する。
2000年のシドニー五輪の際には、競泳の千葉すず選手が日本選手権で優勝しながら、五輪代表に選ばれなかったことを理由にスイスに本部を置くスポーツ仲裁裁判所に仲裁を申し立て、大きな話題となった。
また、昨今は女子レスリングや日大アメフト部に関する問題など、スポーツ組織のガバナンスにたいして厳しい目が向けられることも多かった。選考基準の透明化を求める声はますます大きくなってきている。しかも、JCFの会長を務める橋本聖子参議院議員は、東京五輪組織委員会の理事、日本オリンピック委員会(JOC)副会長という要職にもある。そんな中で飛び出した、日本No.1ロードレーサーの訴え。選手にとっては今後の競技人生を左右しかねない五輪という大舞台に向けて、組織の覚悟も問われている。