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独自の進化をとげた中国の「カラオケ文化」は日本を超えたか

スマホアプリからガラス張りの「ミニカラオケボックス」まで

2019/06/27

ガラス張りの無人カラオケボックス

 同じく2017年には、中国全土のショッピングモールやデパートなどでガラス張りの無人のミニカラオケボックスを見るようになりました。台湾でも普及しているようです。中国ではキャッシュレスのWeChatPay(微信支付)やAlipay(支付宝)が普及する中で、シェアサイクルなどと並んでキャッシュレスが利用できる先進的なサービスとして登場しました。

 ほぼ音がもれないガラス張りの設備で、ヘッドホン、椅子、マイクが2つずつ用意されているので、デュエットで歌うことができます。歌った後にはスマートフォンに歌をダウンロードでき、ネットの知り合いに歌声を披露することができます。ガラス張りだから恥ずかしいという人のためにカーテンも用意されていてカバーすることができます。

ガラス張りになっているミニカラオケボックス ©山谷剛史

 現在に至るまで目立ってミニカラオケボックスが減ることがなく、若い女性2人組やカップルなどが歌っているのをよく見るようになりました。

 さらにはミニカラオケボックスを真似したサービスが出てきました。カラオケができるだけでなく、ゲームが遊べたり映画が見られたりするミニエンターテイメントボックスや、本の朗読ができるガラス張りのミニ朗読ボックスなんてのも登場しました。ミニカラオケボックスは日本に逆輸入されたほか、ベトナムのハノイやホーチミンでも見るようになりました。

ミニ朗読ボックス ©山谷剛史

新橋の「ちょいKARA」は1カ月弱で撤退

 日本でも2011年ごろに、まさに同じコンセプトの製品「ちょいKARA」を中国に先駆けて出したのですが、普及したのでしょうか。残念ながら私自身は中国にいて、当時の日本の様子は知りませんが、そこまで人気にはならなかったようです。

 2013年の新橋経済新聞に、「ニュー新橋ビルの一人用カラオケ撤退へ-設置1カ月、需要見込めず」というニュースがありました。サラリーマンの街、新橋に設置された「ちょいKARA」が、1カ月弱で50人しか利用されなかったので撤退するというものです。オーナーいわく「3曲200円なので、採算が合わない」「黒字化するには最低1日30人の利用が必須。このままでは難しい」と、撤去を決めたそうです。まさかオーナーも、1日に数組程度の利用とは思いもよらなかったでしょう。

サラリーマンの街、新橋だが…… ©iStock.com

 日本でも中国のようにもっと設置すれば、日本でのカラオケシーンに変化があったんじゃないかなと思う一方で、設置したところで誰も利用しないという厳しい現実がありました。そうこうしているうちに、日本の文化であったカラオケは中国でスマホ社会に合うように形を変え、普及していきました。

 日本のアニメやゲームは世界のカルチャーに影響を与え続けていましたが、文化も時代に合わせて調整していかないと世界は待ってくれません。思わぬところで日本の地盤沈下を感じています。

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