文春オンライン

「議論していけという声をいただいた」議席が減ったのに、なぜか改憲に強気な安倍首相の“空耳力”

参院選直後の党首発言からにじみ出る、各党の本音

2019/07/27

genre : ニュース, 政治

note

さりげなく目標時期は後ろ倒しに

 安倍首相は21日夜の民放の番組でも、「しっかりと、少なくとも議論していけという国民の声をいただいた」と語っていた(日本経済新聞 7月22日)。空耳じゃないだろうか。

安倍晋三 首相
「期限ありきではないが私の任期中に何とか実現したい」

日本経済新聞 7月21日

 安倍首相は21日夜の民放の番組で、自らの総裁任期である2021年9月までに憲法改正の国会発議と国民投票を目指すと表明した。「期限ありきではない」と言いつつ、思いっきり期限を切っているのが安倍首相らしい。

ADVERTISEMENT

 また、以前は「2020年の新憲法施行」を掲げていたが、さりげなく目標時期を後ろにずらしているところにも注目だ。

安倍首相を完全否定した公明党・山口代表

山口那津男 公明党代表
「争点設定が国民に伝わっていない。議論すべきと受け取るのは少し強引だ」

日刊スポーツ 7月22日

公明党の山口那津男代表 ©山元茂樹/文藝春秋

 安倍首相が前のめりになる憲法改正に慎重な姿勢を崩さないのが、与党を組む公明党である。山口代表はテレビ東京の番組で、「議論は行うべき」という「国民の審判」が下ったと主張する安倍首相を完全否定してみせた。

山口那津男 公明党代表
「自衛隊をほとんどの国民が容認しており、それをあえて書く意味があるのか、もっと議論を尽くす必要がある」

日本経済新聞 7月22日

「『お父さんは憲法違反なの?』といわれて、自衛官の息子が涙を見せたという話を聞いた」という自衛隊の違憲論争は安倍首相の十八番だが、山口氏のこの発言はそれをまるっきりひっくり返している。

 同日の記者会見では「(選挙戦で)有権者の関心は高いものではなかった」とも語っており、安倍首相の「大きな争点だった」という発言と真っ向から対立した。

 では、有権者の関心はどうだったのか?