5年後の状況も、まだまだ読めません。たとえば、すでに出ている案では、2024年度の大学入試からは英語の試験はすべて民間試験にしてしまおう、というものもある。英語の試験がすべて民間試験になってしまったら、高校の授業が単なる英語の民間試験対策になってしまうとして、現場からは猛烈に反対されているのですが。
もちろん、2020年度に実施される予定だったように、ライティングとスピーキングだけ民間試験を導入する形もあり得ますし、大学関係者からは(センター試験の後継である)大学入学共通テストの一環として、ライティングやスピーキングを取り入れたらどうか、という声もあがっています。
日本の英語教育は過渡期にある
——これでは、現在の小中学生やその親は、どう対策していけばいいのか全く見当がつきませんね。
安田 2020年度から小学校高学年で英語教科化が始まるなど、日本の英語教育は過渡期にあります。ライティングやスピーキングに関しては、国が英語4技能評価(読む、聞く、話す、書く能力を評価すること)を推進しているので、どちらにしろ対策は必要になるはずです。進学を控えるお子さんは、スピーキングやライティングの面倒をしっかり見てくれる中学・高校を選ぶ必要があると思います。
個人的に懸念しているのは、幼い頃から英語を強要されて、英語嫌いになる子どもがたくさん出てくるんじゃないかということ。一回科目を嫌いになってしまうと、きちんと勉強させることは難しい。苦手でもいいけど嫌いにならせちゃだめですね。時代の流れに焦ってしまう気持ちも分かりますが、嫌がる子どもを無理やり英会話教室に入れる、というようなことはしなくてもいいのではないでしょうか。
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1日の会見で、萩生田文科相は「(受験生の)皆さんとの約束を果たせなかった」「大変申し訳なく思っている」などと発言した。
しかし、大学入試改革は今年度、来年度の受験生だけではなく、現在の小・中学生にも大きな影響を及ぼす。制度の公正さ・公平さが担保されることはもちろんのこと、制度をめぐる混乱が解消され、子どもたちが安心して勉強できる日が来ることを願うばかりだ。