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データは新宿区の外国人住民の国籍別ランキングなので新大久保の住民だけではないが、多国籍化が急速に進んでいることが見てとれる。実際に新大久保を訪れると、韓国料理の店でも東南アジアや南アジア系の従業員が働く姿が。

鄭さんは次のように話してくれた。

「コリアンタウンというより、アジア各国の料理を楽しめる非常に面白い街になっていけばいいと思います。私たち韓国人が経験してきたことを先輩として教えながら、日本社会での多文化共生の先例をつくっていきたいと考えています」

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外国人があふれる上野の「アメ横」

上野の「アメ横」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。お正月に向けてマグロやカニ、数の子といった海産物を買い求める人たちでごった返している姿……と答える人が多いと思う。

ところが私たちは取材中に衝撃のひと言を聞いた。

「そういえば、いまのアメ横って、ほとんどが外国人らしいよ」

なにはともあれ、現場に行ってみないと始まらない。そんなわけで向かったアメ横は、平日の午前中から多くの人でにぎわっていた。けれど、どこか様子が違う。海産物を売る店が、なんだか少ないのだ。

「年の瀬に見るあの光景はどこに行ったのだろうか」

この疑問に答えてくれたのは、商店街の約400店舗をとりまとめる「アメ横商店街連合会」の千葉速人さん。革製品店を経営するかたわら連合会の副会長を務め、アメ横の移り変わりを一番近くで見てきた人だ。

「実は今や、商店街の40店ほどは外国人が経営するお店なんです。お客さんも、正確な統計は取っていませんが6割くらいが外国人。昔は中国人が多かったけど、最近ではベトナムとかの東南アジア、ヨーロッパからの人たちも多く来てくれています。昔から一定数はいたけれど、こんなに増えたのはここ5年くらいでしょうかね」

たたんだ老舗店の跡地に続々と出店した

そう聞いて並んでいる店をよく見ると、ケバブにタピオカ、中国料理や韓国料理と、海産物どころか“日本っぽくない”お店が多くあることに気がついた。どうしてここまで外国人経営のお店が増えたのか。