自分でハードディスクを処分する場合、何をするべき?
以上のように、データの消去が不完全だと、フリーソフトを使うだけで一定レベルのデータを復旧できてしまうことがよく分かります。今回試したハードディスクの中には(幸か不幸か)見当たりませんでしたが、アドレス帳を復旧させて個人情報を入手したり、プライベートな写真を覗き見するのは、実に簡単なことだと言えます。
では、自分でハードディスクを処分する時、何をすべきでしょうか。利用可能なドライブを売却する場合は、前述のようにデータ消去ソフトを用い、全領域の上書き処理を行うのがお勧めです。理想は複数回の上書きですが、1回であっても、興味本位での復旧はほぼ不可能になります。ただし500GBの消去に数時間はかかるなど面倒さは否めず、結果的にこれがデータ流出の遠因になっていることは否定できません。
一方、壊れて動作しなくなったハードディスクを廃棄する場合は、物理的に破壊するのがお勧めです。一部のPC販売店が用意しているハードディスク破壊サービスは、1台1000円程度で専用機器を用いて物理的に穴を開けてくれます。破壊されたハードディスクは店に引き取ってもらうこともできますし、処分に不安があればそのまま持ち帰って自分で破棄することもできます。いずれにせよ、処理を目視で確認できるので安心です。
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「データ復旧」は意外と簡単にできてしまうもの
今回は、あまり知識のない素人が興味本位レベルで試してみたという想定で、フリーソフトに限定して検証しましたが、これが専門の業者ともなると、症状に応じたさまざまな復旧ツールを用意しており、筆者が今回読み取り不可と判定したハードディスクからでも、データが復旧できてしまう可能性は大いにあります。
冒頭で述べた神奈川県庁のハードディスクは、今回でいうと1本目もしくは2本目のものに近い状態だったと考えられ、入手したユーザに悪意があれば、実際にデータ流出が発生していた可能性は高いといえます。特殊な事例だったとはいえ、個人でハードディスクを手放す時も、最低限の対策は自分で行っておいたほうがよさそうです。