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「たけし軍団」は一般人なのだろうか?

 自分の身近な世界で考えてみることにする。

「たけし軍団」という集団がある。ビートたけしさんが率いる。それが原点の集団だ。

 では、たけし軍団は一般人なのだろうか。

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「共謀罪でいう“一般人”て、芸人と一般人の区別のことじゃないよ」と言う方もいるかもしれない。しかし私が気にするのはそこではない。

たけし軍団とビートたけし(1987年)

「たけし軍団」は過去に「正当活動団体だったが性質が一変した」瞬間があるのだ。

 86年の「フライデー襲撃事件」である。ビートたけしとたけし軍団12名が、写真週刊誌「フライデー」(講談社)の編集部を襲撃した事件。交際女性への取材方法に納得いかなかったのだ。傘や消火器を持って集団で大暴れした。

 普段はギャグばかり飛ばしていたとしても、長いあいだ活動を続けていればこうした「性質が一変した」過去は出てくる。人間だもの。

 そして今、たけしさんや軍団さんが政府や権力を茶化すようなことをしたとする。

 ここでイラッとする人が出てきて「そのネタの指摘は当たらない」とにらまれたらどうなるのか。もし権力側の器が小さければ、あの過去を引っ張り出してきて「組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断」される可能性はないだろうか。意趣返しとして徹底マークされることはないだろうか?

ビートたけし、テロ等準備罪で逮捕。は100%無いと言えるか?

 万一、恣意的な解釈をされて権力に監視されたら、次のようなことは考えられないか。

 ある日、急に雨が降ってきたので、たけしさんがコンビニで傘を買う。傘はあのフライデー事件で使われた「凶器」でもある。その瞬間にたけしさんは「犯罪の準備行為を行った」と判断される。それまで監視していた警察は一斉に動く。

 ビートたけし、テロ等準備罪で逮捕。

 本当はこれ、「そんな馬鹿なことあるか」という前提で考えた冗談である。しかし周囲で「くだらねーよ」とか言い合ってるうちに「待てよ……」と思う自分も出てきた。このような恣意的な解釈や、明らかな無理筋からの嫌がらせは「100%無いと言い切れるか?」と。

©時事通信社

 果たしてこのケースは絶対に無いと約束できるのだろうか。1%でも不安がかすめた時点でこれは冗談事ではなく、ちょっとゾッとする案件に早変わりするのだ。

 そう、共謀罪を考えるには、こういう馬鹿馬鹿しい突飛なケースから考えればよいと思う。