踊り子が芸を披露しているだけでは駄目な時代
デビュー当時には、10人はいたという花電車芸人だが、ひとりずつ減っていき、コンスタントに劇場で芸を披露しているのは、今ではゆきみひとりとなってしまったという。花電車芸人が減っていった理由は何だったのか。
「15年くらい前からでしょうか。お客さんがお金を払って、踊り子のポラロイド写真を撮るポラが優先されるようになっていったんです。少しでも劇場に現金を落とすことが大事になってきました。踊り子は、芸を披露しているだけでは駄目な時代になったんです。
特に温泉場の劇場は、はっきりとわかるぐらいお客さんが入んなくなっていきました。社員旅行がなくなり、会社の経費も使えなくなっていった。お客さんのお金の使い方ががらっと変わってしまいました。それまでは、吹き矢で風船を一発で割ったら、1万円をチップとして渡してくれるお客さんがどこの劇場にもいましたが、ここ10年は1万円札を見ていません。お札の色が変わってしまいました」
「他にも思い当たることはありますか?」
「花電車をやる踊り子さんは、道具代も余計にかかるんです。リンゴや風船などの備品に、手伝ってくれたお客さんへのドリンクサービスをしていると、10日で最低3万円は余計に掛かります。それを考慮して、花電車の人は他の踊り子さんよりはもともとギャラが高いんです。ギャラは高い、ポラロイドをやらないとなると、お客さんも入らない昨今、劇場側は、花電車の踊り子のせるのに二の足を踏んでしまいますよね」
「ポラロイドが優先されるのは仕方がないことかもしれませんが、何だか寂しい話ですね」
「私がデビューした頃は、いろいろな芸をする踊り子さんがいて楽しかったですね。花電車だけでなく、SMショー、白黒ショーがあり、アイドルさんもいる。今はポラだけになってしまいました。新人の女の子には、花電車を知らない人もいますからね」