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2020/06/08

「ナゾノマスク」販売に踏み切る店も

 すでに緊急事態宣言が明けた5月末、いざ西川口に行ってみると、50軒以上あるとされる中華料理店の営業率はせいぜい5~6割程度。また、いっけん店を開いているように見えてもテイクアウトとデリバリーしかやっていない店舗もかなりあるので、まともに店を開けているのは全体の3割弱くらいの印象である。

税抜の「税」の字が中国っぽい。マスクの価格が変動した形跡があるのも興味深いところだ

 たとえば、中国本土ではおなじみの薬膳スープ春雨のマーラータン(麻辣燙)を出す某店は、駅前通りに面した好立地にもかかわらず、私が入店すると「店内では食べられません」と店員が対応。テイクアウトとデリバリーだけらしい。

 この店は壁のガラスに大量のマスクとアルコールジェルの広告を張り出しており、もはや飲食店なのかマスク屋なのかわからない状態だ。同様の営業形態をとる店舗は、西川口に隣接する蕨の某団地(中国系入居者が多いことで有名)付近のタピオカ屋をはじめ、いくつかみられた。

こちらは西川口ではなく蕨。もとはタピオカ屋だったはずが、もはやコロナ関連商品専門の薬局と化している

「中国のコロナ禍が一段落してから、中国から輸入したマスクを日本で売るビジネスが流行りはじめた。僕自身、自分のWeChatに100件くらい『マスク卸します』という連絡が来たよ(笑)」

 西川口で事業を営む在日中国人・陳氏(仮名)はそう話す。もっとも、5月に入ってマスク供給が安定化してからは、中国製の「ナゾノマスク」の値崩れは激しい。陳氏は話す。

「うちの会社でも売ろうかと思ったが、検討した当時は仕入れ値が1箱50枚で2000円。お客さんへの売り値は2300円くらいしかつけられないから、イマイチ商売としてよくない。しかも『仕入れは1万枚から』なんて話だった。僕は手を出さないことにして正解だったな」

「3月からお客を店に入れていません」

 店舗の声も聞いてみよう。まず話を聞きに行ってみたのは、福建料理の「福記」(@YuuHayasi)だ。福清市出身の林さんが作る牡蠣入りの揚げ物・ハイリービン(海蠣餅)がメディアで話題になり、中国人だけではなく日本人のファンも多い名店である。