計500万円が元慰安婦に支給されることに
私たちが支援活動を行っているなかで元日本兵の方からも様々なメッセージをもらいました。
「自分の部隊にも慰安所があった。戦況が悪くなり撤退をすることになったとき、慰安婦の方から『私たちを連れて行ってくれ』と懇願された。しかし、最終的に彼女らを捨てて逃げなければならない状況になってしまった。その後、彼女たちがどうなったか。今でも思い出すし、罪悪感にかられている」
その男性は同時代を生きた慰安婦のことを、とても気にしていました。
慰安所に並んだのは日本兵です。慰安婦たちの背景を知らずに、彼女たちを抱いたり、殴ったりしたのは、いま生きる私たちの祖父であり、親であり兄弟だったかもしれません。その意味でアジア女性基金が始めた国民募金は日本人が反省する原点ともなりうるし、人道的な解決にも繋がると私は考えました。
国民募金には6億円以上のお金が集まりました。自民党の橋本龍太郎氏(後の首相)は家族ぐるみで募金に協力してくれたといいます。他には自衛官の方も多かったと聞きます。
アジア女性基金では国民募金を原資とする「償い金」を200万円、そして国費から「医療福祉支援事業」として300万円、計500万円が元慰安婦に支給されることになりました。
「慰安婦を懐柔しようとしている」アジア女性基金への嫌がらせ
アジア女性基金が本格的に活動を始めた1996年ごろから、挺対協は私に対する嫌がらせを強めてきました。
同年、自治労から500万円の寄付を貰い、龍山に遺族会ケアセンターがオープンしました。同所は#2でもお話しした元慰安婦や遺族の方が集える場所で、金学順さんも愛した場所です。金学順さんは肺気腫で体調が良くないなか、タクシーを飛ばしてよく遊びにきていたそうです。
ところが尹貞玉氏はこのケアセンターを目の敵にしたのです。
「ケアセンターはアジア女性基金のカネで出来ている。慰安婦を懐柔するために作られたものだ」等と韓国政府に注進するようになったのです。そして「臼杵が慰安婦にアジア女性基金のカネを受け取るよう説得して回っている」というウソも流すようになりました。
遺族会ケアセンターは自治労の支援で出来たものですし、アジア女性基金のお金を受け取るかどうかを決めるのは元慰安婦の方々だと私は考えています。説得などするはずがないのです。
なぜ挺対協はこんなウソをつくのかと悔しい気持ちになりました。
嫌がらせが最高潮に達したのが、1997年1月以降のことです。アジア女性基金は、ソウルのプラザホテルで、極秘裏に金田きみ子さんを含む元慰安婦に、橋本龍太郎総理のお詫びの手紙と、支払金の目録を届けました。