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些細なきっかけでセルフネグレクトに陥る

 部屋が汚くなると、人を招き入れなくなるという悪循環が起こる。特に現役世代は、健康を害してしまうと誰にも気づかれず、セルフネグレクトに陥り、命が脅かされるようになる。身内との縁が切れていたり、近隣住民からも孤立しているという特徴もあり、行政も捕捉が難しいのが現状だ。

 度重なる遺族や現場の取材から、男性はパワハラや失業などいわば、社会との軋轢から、セルフネグレクトに陥るケースが多いと感じた。しかし、女性の場合は、失恋や離婚の喪失感、病気など、プライベートな出来事をきっかけに、一気にセルフネグレクトに陥りがちだ。また、責任感の強さから、誰にも頼れずゴミ屋敷などのセルフネグレクトになり、孤立してしまう。

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 女性が一度、世間から孤立すると他人が見てもわかりづらい。まだ自分は大丈夫だと仮面をかぶるからだ。しかし実際は、雨が降ると外に出たくなくなり、体がだるいと動きたくないという狭間で、そのギャップに苦しむ。そんな自分に嫌悪感を覚えて自己否定が始まり、最後に精神が崩壊する。女性の孤立は、男性の孤立より、見抜きづらくなる。

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 女性の孤独死の現場を目の当たりにすると、私自身、同じ女性としていたたまれない思いを抱いてしまう。それは、孤独死は私個人とも無関係ではなく、むしろ、誰の身に起こってもおかしくないという思いを強くするからだ。

孤独死は決して他人事ではない

 長年、孤独死の取材を行っているが、ご遺族の方にご本人の人生を聞かせていただくと、対人関係や仕事でつまずいた経験があるなど、何らかの「生きづらさ」を抱えていた人も多い。

 私自身、元ひきこもり当事者であり、今も人間関係では、打たれ弱い面があり、「生きづらさ」を抱えている。亡くなった方とは趣味や性格や生い立ちなど、私と共通点が多く、共感することが多々ある。ご遺族も、そんな生前の故人の「生きづらさ」や「社会の抱える矛盾」を知ってほしいと取材に応じてくださることもある。

 現在、社会問題になっている8050問題に代表されるような中高年のひきこもりが孤独死という結末を迎える日も遠くないし、実際にもう現場では起こっているという実感がある。かつてのひきこもりだった自分も同じ結末を迎えていたかもしれないと思うと、切ない気持ちになる。

 誰もが人生の些細なつまずきをきっかけとして、孤独死という結末を迎えてしまう。そして、孤独死は決して他人事ではないということを私たちに突きつけてくる。