1ページ目から読む
3/3ページ目

二大騒動「加藤の乱」と、もう一つは?

 まずは「加藤の乱」(2000年)。

 2000年に小渕恵三首相が病気で倒れ、いわゆる自民党「五人組」の話し合いで森喜朗氏が後継に選ばれた。しかし密室批判が高まり森首相の人気は低いまま。そこで起きたのが加藤紘一氏による森降ろしだった。野党も巻き込み、当時もネットではアツい注目が集まった。加藤の乱は鎮火されたが、もし今回誰かが令和版の加藤の乱を仕掛けたら一気に盛り上がってしまいそうな予感。

加藤紘一氏 ©文藝春秋
『強いリベラル』出版記者会見 ©文藝春秋

 もう一つは「小泉純一郎旋風」(2001年)。

ADVERTISEMENT

 盟友の加藤紘一氏の乱を抑えた小泉純一郎氏は翌年に森首相が退陣を表明すると総裁選に立候補。

小泉純一郎氏 ©文藝春秋

 当時の序盤の状況は、竹下派が推す橋本龍太郎の再登板で仕方ないという「永田町の常識」だった。しかしそんな空気が伝えられるほど納得がいかない世論。その間隙を突いて「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎を世論は支持した。

今のやり方では菅さんが噛ませ犬になってしまうのでは?

 今回の永田町での「菅氏で仕方ない」という盤石感が伝えられるほど、あのときの世の空気を思い出す。菅氏が二階氏と組んでこのまま権力を奪取すると、その後ほど波乱の目はあるのではないか。

 しかも2000年や2001年と比べネットは格段に進化している。「対抗者」のケンカの仕方によっては、永田町の論理が一気にSNSから崩される可能性だってある。

 だから私は今のやり方では菅さんが噛ませ犬になってしまうのでは? と心配で心配で仕方がないのである。

©文藝春秋

 なのでせめて党員投票をやって、じっくり政策論争をやったほうが安全策だと思う。

《余計なお世話だが、次の総選挙に勝ちたいなら、本格的な総裁選をやった方がいい。候補者同士が真剣に政策論議を戦わせることは、国民に安心感を与える。》(産経抄8月31日)

 ほら、産経師匠だって同じ心配をしてるじゃないですか。