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『半沢直樹』では、印象深い「お・し・ま・いDEATH」のセリフなどアドリブも多かったというが、それもほかの俳優とやりとりするうちに「反射的」に出たものなのだろう。
俳優になった理由は「ネクタイをせず、満員電車に乗らなくて済む」
昨年には、『半沢直樹』と同じくメガバンクを舞台にしたドラマ『集団左遷!!』に出演し、主演の福山雅治扮する銀行支店長・片岡のもとで副支店長を務める真山という男を演じた。真山は最初こそ片岡の敵なのか味方なのかわからなかったものの、やがて主人公と心を通わせ、リストラ策を推し進める本部の副頭取(三上博史)に立ち向かうことになる。
一見すると、『半沢直樹』の大和田とは対極的な役に思える。しかし演じる香川としては、大和田と真山はコインの裏表にすぎないのかもしれない。別に演じ分けているつもりはなく、それぞれの置かれた立場や状況に応じて自然に振る舞っているうちに、敵役にもなるし、味方にもなるということなのではないか。
いまでは演技派として周知される香川だが、そもそも俳優になった理由は、「ネクタイをせず、満員電車に乗らなくて済む楽そうな職業」だからという消極的なものだった(※2)。
デビュー作は、1989年、23歳で出演したNHKの大河ドラマ『春日局』だ。いまそれを見ると、セリフ回しもまだ拙く、いかにも腰が据わっていない様子が見てとれる。ただ、それがかえって、このとき演じた小早川秀秋の役には合っていたようにも思える。
俳優として大きな転機となったのは、デビュー10年目の1998年、姜文監督・主演による中国映画『鬼が来た!』(公開は2000年)に出演したことだった。