目の前に現れた要塞のような建物
実際に目の前で見る沢田マンションは想像以上に巨大な要塞のようだった。その圧倒的な存在感とスケールの大きさは、しばらく見惚れて立ち尽くしてしまうほどだ。事前に見ていた誌面上では一枚の写真で沢田マンションのすべてを写していたが、目の前で見ると首を上下左右に動かし、目をぐるぐる動かさないと全貌が見えないのだ。
そして写真で見てもわからなかったものは、実際に見てもまだわからなかった。それだけではない。写真で見たときとは違うまた新たな疑問が湧いていた。
「屋上にあるのはなんなんだ?」
「一体これは何階建てなのか?」
見れば見るほど複雑な形をしていておもしろい。視界に入り切らない凄まじい大きさに加え、ウネウネと曲がり複雑に交差した通路や隙間を植物が埋めているさまは、いかにもこどもが描いた伝説の生き物のような自由度。素人なのに、逆に素人だから固定観念なしで作れたのだろう。
そんな沢田マンションは見学ができる。
大家さんに一言声をかけ、住民のプライバシーに配慮しながら静かに見ていく。通常のマンションであれば、住民でない身分で立ち入るのには気が引けるが、沢田マンションにはいくつか店舗が入っていることもあり、初見でも見学しやすく、ありがたい。
店舗は、沢田マンションのグッズが買える事務所の他、レンタルスぺースやギャラリー、リラクゼーションスポットなどさまざまで、特に人気なのが1階にあるカフェ「藁屋」。カウンターとテーブル席が並ぶおしゃれで居心地のいい店内では、高知県産の野菜を使ったランチプレートやカレーが楽しめる。
また、1階と地下の駐車場を使って飲食やアートのマルシェもたびたび開催されていたり、空室を利用したゲストハウスに泊まることもでき、誰もが気軽に足を運ぶことができる(記事公開時は休止中)。