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 もともと望遠レンズは広角レンズよりもレンズ自体は暗く、決して暗所での撮影向けではないため、ナイトモード×望遠という組み合わせに限定して、明るい広角レンズを代用していると推測されます(ただし例外となるケースもあるようです)。広角レンズで撮った写真から切り出した画像とそっくりなのは、言うなれば当たり前ということになります。

試しにiPhone 12 Pro Maxの広角レンズを指で覆い、ナイトモードで撮影してみます。ちなみにiPhone 12 Proと異なり、広角レンズは向かって左、望遠レンズは向かって右に配置されています
広角レンズを指で覆っているためナイトモード×1倍で写らないのは当然ですが、望遠(2.5倍)に切り替えてもやはり写りません

もともと望遠レンズのないPixelが「綺麗に撮れる」理由

 一方のPixelは、もともと望遠レンズを搭載しておらず、広角レンズで撮ったものをAIがズーム処理しています。つまり夜景であってもなくても望遠はデジタルズームなのですが、こと夜景に関しては、望遠で撮った画像のほうが、広角で撮って切り出した画像よりもシャープで、望遠撮影時のみ何らかの特殊な画像処理が行われていると推測されます。

 ちなみにiPhoneとPixelを比べると、iPhoneではマンションの各フロアの明かりがひとつの塊になってしまっているのに対し、Pixelではひとつひとつが分離して見えるなど、細部までくっきりしています。ややシャープネスがかかりすぎている印象はあるのですが、発色の良さも含めて、今回の「ハルヒ坂」の夜景に関しては、Pixelのほうが上と言えそうです。

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Pixelの夜景モード×望遠(2倍)での撮影。多少の粗さはありますが、iPhoneほどではありません
中央部分を切り出した画像。さきほどのiPhoneに比べるとディテールが細かく、マンションの明かりがきちんとフロアごとに分かれて描写されています
こちらは広角レンズで撮った写真から切り出した画像。望遠で撮った写真と異なり、マンションのフロアごとの明かりがひとつに合体していたりと、前述のiPhoneに近い傾向があります

 もっとも、これが夜景ではない日中の望遠撮影となると、評価が完全に逆転するのが面白いところです。以下のように、Pixelは木の枝や人物のディテールがぼけており、また後方の柵に至っては縦の格子が完全に消えているのに対し、iPhoneはすべてがくっきりとしており、まだまだ余力があることをうかがわせます。

iPhoneで、日中に撮影した望遠写真(2.5倍)から切り出した画像。やや絵画っぽくなってはいるものの、それぞれの被写体がきちんと描写されています
同じ場所でPixelで撮影した望遠写真(2倍)から切り出した画像。iPhoneのそれに比べると、細かいディテールが完全に飛んでしまっています。ちなみに最大ズーム(7倍)で撮ったものは画質が若干改善されることからして、撮る時点でのズーム倍率がひとつのポイントとなるようです

夜景がスマホで綺麗に撮れる!

 ここまでをまとめると、iPhoneとPixel、両シリーズの最新製品を比較した場合、望遠モードで通常の風景を撮るならばiPhone>Pixel、夜景を撮るならばPixel>iPhoneと、それぞれ得手不得手があることが分かります。夜景に限れば、広角と超広角は両者互角、望遠の場合のみPixelがやや有利、といったところでしょうか。

 もっとも今回の「ハルヒ坂」のように、構図の中に何基もの街灯があり、かつ前景と遠景がはっきり分かれているケースもあれば、遠景がなく周囲も完全に真っ暗なケースもあるでしょう。また屋外ではなく、照明の乏しい室内でポートレートモードで撮るというニーズもあるでしょうし、オートでの撮影は参考にならないという上級者もいるはずです。

 このように、細かい条件の違いを挙げ始めるとキリがないのですが、確実に言えるのは、ナイトモード(夜景モード)そのものを搭載しないスマホとの差は、やはり歴然ということです。ナイトモード(夜景モード)を搭載したスマホをゲットしたら、今回の「ハルヒ坂」をはじめとした各地の夜景スポットに(密にならないよう配慮しつつ)出掛けてみてはいかがでしょうか。

ナイトモード(夜景モード)での撮影は、三脚の持参を極力おすすめします