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三重に実在する“ヤバい島”は「異国情緒溢れるリトル歌舞伎町だった」全盛期に訪れた男たちが語ったリアル

『売春島』著者・高木瑞穂氏を「文春オンラインTV」が直撃!

2021/02/07

借金を返すまでは「1日1000円」

――本当に怖いですね。作り話のような感じもしますけど……。

高木 ちょっと僕も最初は女性の話を疑ったんですよ。2000万って金額もあって。今まで取材で聞いていたのは200万、300万がせいぜいだった。ただ、むかし沖縄にあった栄原という置屋街に売り飛ばしたスカウトマンが「800万」という金額を口にしたことがあったんですよね。

 加藤さんもおかしいと思って、名古屋に帰った後、その道に詳しい先輩に聞いたら「多くはないけど、ある話だ」と。女性をソープで働かせて毎月100万円受け取るより、渡鹿野島に売って、1回で2000万もらったほうが得だと言うんですね。確かに全盛期の渡鹿野島は、女性1人で月200~300万稼ぐことができたとされる。そう考えると2000万もあながち嘘じゃないかなと、僕は思いました。

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島の海辺でたたずむ女性(著者提供)

――「文春オンラインTV」をご覧いただいている視聴者からは、「その女性はお給料をもらえないの?」という質問がきています。

高木 お給料は、借金を返し終わったら、ショートとロングが(置屋と)折半になるので、ショートだったら1万円、ロングだったら2万円受け取れる。でも借金を返し終わるまでは受け取れず、借金の返済に充てられ、島内でお菓子や飲み物、タバコを買ったりするお金として日に1000円程度しかもらえないんです。

――つらいですね。たった20~30年前の話とは思えません。

高木 そうなんです。江戸時代の話じゃない。僕の取材だと、2013年頃までは売られた子がいたと聞きました。その頃はまだ置屋も5~6軒あって、女の子も30人ほどいた。タイ人と日本人が15人ずつくらい。ギリギリ稼げた時期でした。それ以降は伊勢志摩サミットなどもあって島が疲弊していって、「女を売れない」という表現が正しかったんだと思います。