「思い出作り」と「日常の切り取り」…ニーズが異なるプリとアプリ
「何より、彼女たちにとってプリを撮りにいくのは“思い出づくり”であり、イベントです。仲良しの友だちとプリを撮ること自体が思い出になるし、記録も残ります。一方、スマホ写真は“日常を切り取る”というニーズがメイン。目的が違うので、パイの取り合いにはなっていないようです」
たとえば、友だちとおそろいの服を着たときや、誕生日など大切な日にプリを撮る傾向があるそう。「プリを撮る」それ自体が遊びの目的、その本質は、今も昔も変わっていないという。
「アプリは『かわいい写真が手軽に撮れる楽しさ』をほぼ無料で提供してくれるツール、と前向きに捉えています。アプリで“盛る”楽しさを知った人が、初めてプリを撮ると、スマホ加工との違いに驚いてもらえるんです」
最近では、アプリのおかげで獲得したニーズもあるという。新たなユーザーは、美にこだわるメイク男子たちだ。
「韓流の男性アイドルブームを機に、メイクやアプリで“盛ること”に目覚める男の子が増えています。昔はトラブルを避けるために男子グループの入店を禁止していたプリコーナーも、今は男女関係なく出入りできる店も増えてきますね」
どうやら「スマホで何でもできるから、プリは撮らないのでは……」という発想は、実情を知らないアラサー筆者の杞憂に過ぎなかったようだ。
「ただ、2020年はゲームセンターの休業を中心に、コロナの影響が直撃しました。緊急事態宣言下は売上げも激減しましたが、解除後はみなさんプリを撮りにきてくれたんです。当社でもプリの予約機能を搭載して密を避ける、など対策を進めています。
今もなかなかプリを撮りに行きにくい状況ですが、落ち着いたら、またたくさんの人にプリを楽しんでもらいたいです」
新型コロナは、女子高生たちの“思い出づくり”にも影響を及ぼしているのだ。