事件を後世に残すための「三毛別羆事件復元地」
館内を回っていると、目を引くチラシが。1990年7月、不屈の開拓精神と先人の偉業を後世に伝えようと、六線沢の現場付近に周辺住民らの強い熱意によって、「三毛別羆事件復元地」が作られたようだ。
どんなところだろう?と怖いもの見たさの好奇心に駆られ、一路、現地へ向かうことにした。詳しい住所が記されておらず、受付の方に場所を聞く。
「国道の来た道を戻って、橋を渡ったら信号を左、次の信号を右、あとはその道をまっすぐ行けば着きますよ。」
なんて簡単な説明、本当に着くのだろうか。
だいたいの位置をナビに入れて出発。たしかにナビは、橋を渡った信号を左、次の信号を右に案内した。
途中、何度も大きな看板に「ベアーロード 復元地まであと○km」と書かれ、疑念が確信に変わる。
北海道らしい牧歌的な風景を眺めながら、爽快な直線道路をひた走る。前にも後ろにも、対向車線にも車がいない。窓を全開にし、思わずアクセルを踏み込みたくなる。
復元地までの道を示すベアーロードは、迷う隙を与えない一本道なのだが、走っても走ってもなかなかたどり着かず、変わらない景色に時折不安になる。しかしそんな頃、たびたび道路脇の倉庫や建物の壁に、ベアーロードと書かれたかわいいクマのイラストを見つけてはホッとする。その繰り返しだ。
急に表情が変わるクマのイラスト
しかし復元地まで残り10kmほどになったころ、あれだけかわいかったクマのイラストが急に恐ろしくなった。
しかも、正確に道を案内してきたカーナビが、ここに来て突然迷走し始めたのだ。
なんだこれ、怖い。帰りたくなってきた。しかしここまで来たらいまさら引き返すわけにもいかない。
ベアーロードのクマと終わらない道路だけを信じて走ると、残り5km地点に「射止橋」という、ヒグマ射殺の際に最初の被弾地点であった場所を記念して名付けられた橋を通過。いよいよ現地が近くなってきたことを実感し、不安と緊張でハンドルを握る手に力が入る。
ついに復元地まで200m。すると今までキレイに舗装されていた道路が砂利道になり、あたりは鬱蒼とした森へと変化。看板のクマも凶暴化し、牙をむいている。
バタン。