自分の評価が、「女性」全体の評価になってしまう
――残念ながらまだまだこうした現状は変わってないですね。
近藤 私は自民党出身ですが、区議会の自民党にも女性はひとりもいない状況です。むしろ、そんな中で区長を14年続けてこられたというのは、本当に運が良かったとしか言いようがないと思っています。
でも、やっぱり最初は「女に区長が務まるのか」とだいぶ言われましたよ。何か失敗すれば「だから女はダメなんだ」と、私の評価ばかりでなく、女性の評価も下げてしまうのではないかと、ずっと心のどこかに感じながら生きてきました。
一方で、女性として地位を獲得していくためには、ここは自分の弱いところかもしれませんが、「こういう発言をすると状況が厳しくなるのでは」とか、いろいろ計算しながらやってきた部分もあると思います。
だからこそ、性的マイノリティの方々の生きづらさみたいなことを、全て理解できるとは言いませんけども、何か感覚的には理解できる部分もあるんじゃないかなと思うんですよね。
――2019年の区長選の際、朝日新聞の取材に対し、好きな映画が『ボヘミアン・ラプソディ』と答えています。本作ではフレディ・マーキュリーのセクシュアリティについても描かれていますね。
近藤 私、クイーンの追っかけだったんです。初来日の時は学校を休んで切符を買って、ファンクラブにも入っていました。もちろん当時はフレディのセクシュアリティは知らなかったです。
自分も歌詞を覚えるくらいのめり込んでいましたから、あれだけのスターでも受け入れてもらえないんだな……と、(映画を見ても)胸が苦しくなりました。切ないですよね。切ないなんていう言葉じゃ軽いとは思いますが。
ただ、今でも大なり小なりああいった生きづらさを抱えながら生きている方は大勢いるでしょうし、小学校や中学校でも周りに自分のことを話せないお子さんもたくさんいるんだろうと思っています。
まだスタートのスタート
――今後、性的マイノリティについてはどういった施策を進めていく予定ですか?
近藤 当事者の方からお話を聞けば聞くほど、(パートナーシップ制度を)導入したからと言って、問題が解決するというものではないと実感しています。
例えば、(保育園などに)同性のパートナーとの子どもを引き取りに行ったときに『いや、あなたは関係ない人ですから』といったことがないように、区として制度の周知を徹底していかないといけません。