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100年以上の歴史に幕…“廃墟と空き地”に囲まれた「下之一色魚市場」最後の日に密着してみた

2021/04/10

genre : ニュース, 社会

 昨年秋のこと。20年来、連絡を取っていなかった友人から、突然メッセージが届いた。名古屋市にある廃墟を見にいって、その感想を教えてほしいという内容だった。廃墟は名古屋市中川区の下之一色という場所にあるという。岐阜県在住の私は、これまで幾度となく名古屋を訪れているが、下之一色という地名は聞いたことがなかった。

 友人は、これまで私が多くの廃墟を訪れていることを知り、このメッセージを送ってきたようだ。確かに、廃墟と聞いたら体が動いてしまう。突然のことに戸惑いながらも、数日後には現地に足を運んでいた。

廃墟情報を頼りに、早速足を運んでみた

鉄筋コンクリート2階建ての“廃墟”

 行ってみると、庄内川沿いに、大きなコンクリートの建物が建っていた。友人のメッセージには、冷蔵倉庫の廃墟だと書かれていた。すぐ隣に魚市場があり、それと関連がありそうだ。友人は昔から釣りが趣味だったので、その関係で川沿いにあるこの廃墟のことを知ったのだろう。

 立ち入り許可をもらうべく、手がかりを探ろうと隣の魚市場を訪れてみたが、誰もいなかった。時刻は午前10時、とっくに市場は終わっていたのだ。下調べせずに来たことを後悔しながら、廃墟の外観だけでも眺めてみることにした。

冷蔵倉庫の廃墟らしい
「冷蔵室」と書かれた扉は所々塗装が剥げている

 その建物は鉄筋コンクリート2階建で、年季は入っているが、そこまで古びた感じはしない。正面からは、冷蔵室と書かれた大きな扉も見える。

 ついでに周辺も探索してみると、川沿いに古びた廃屋や、不自然な空き地が多いことに気付いた。コンクリートの土台だけが残り、要塞のようになっている場所も、複数あった。かつては多くの冷蔵倉庫やお店が軒を並べていたのだろうか。

さらに足を延ばすとレトロ商店街も

 さらに足を延ばすと、商店街もあった。といっても商店はまばらで人通りは少なく、時々車が通り過ぎていく程度だ。半世紀以上前から営業していそうな店を見つけては、嬉しくなって写真を撮ったりした。

廃墟から足を延ばすと商店街があった
人情味を感じるレトロな商店街だ

《お客様の家に行っています。お電話下さい。》と携帯番号が書かれた張り紙がしてあり、固定電話の子機が椅子の上に置かれていた。レトロで人情味を感じる商店街は、歩いていて退屈しない。