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シラユキヒメから白毛の花を咲かせたい


 ソダシの物語は、その祖母の誕生から始まる。1996年、当時の日本を代表する種牡馬サンデーサイレンス(青鹿毛)とウェイブウインド(鹿毛)との間に、突然変異で白毛の牝馬が生まれた。彼女を購入した金子氏はシラユキヒメと名付け、競走馬として愛情を持って育てた。デビューが遅かったこともあり9戦して3着が最高だったが、中央競馬で初めて馬券に絡む着順に入った白毛馬として、ファンに記憶されることになる。

 引退後、シラユキヒメは繁殖牝馬となった。

「父はサンデーサイレンスだし、母の母はアメリカのG2馬。未勝利に終わったものの、シラユキヒメは良血ですからね。しかしそれだけではなく、金子氏にはシラユキヒメを始祖として、白毛の系統の花を咲かせたいという夢があったはずです」(岡山氏)

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 白毛は他の毛色(鹿毛、栗毛など)の遺伝子に対して優性で、遺伝によって生まれた白毛馬は、両親のどちらかが必ず白毛である。突然変異で生まれた白毛も、親になれば子孫に白毛の遺伝子を伝えることができる。

「金子氏はシラユキヒメに、自身が持つブラックホーク、クロフネ、キングカメハメハといったG1馬を掛け合わせたのをはじめ、シラユキヒメ系統の牝馬に代々、自身のG1馬を種付けし、生まれた白毛を所有してきました。そのことからも、白毛の強い馬を作りたいという意図が見て取れます」(岡山氏)

ユキチャン、ブチコも活躍し…

 シラユキヒメ産駒の白毛の勝ち頭は、NHKマイルカップ馬クロフネとの間に生まれたユキチャンである。地方交流重賞を3度制すなど、5勝を挙げた。

©iStock.com

 またユキチャンの全妹マシュマロも、白毛として初めてJRAでの新馬勝ちを達成。

 そしてダービー馬キングカメハメハとシラユキヒメの交配で生まれた子は、白い馬体に鹿毛の斑が入っていたことからブチコと名付けられ、ユキちゃんに次ぐ4勝をマークした。

「シラユキヒメの子供は10頭が競走馬デビューしていて、うち7頭が勝ち上がっていますから、繁殖牝馬としては素晴らしい結果です。しかしその子孫がクラシックまで獲る活躍をするとは、ほとんどの人が予想していなかったのではないでしょうか」(岡山氏)

 ブチコも引退後に繁殖入りし、クロフネの種がつけられて初仔が生まれた。

 両親や祖母のシラユキヒメ同様、日本一の規模と環境を誇るノーザンファームで生まれ育ったその白毛馬は、オーナーの金子氏によってサンスクリット語で『純粋』『輝き』を意味するソダシと名付けられた。