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松山ケンイチの発言に物議…「嫁」という呼び方アリ・ナシ論争は「言葉狩り」か?

2021/04/25
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海外の言い換え例

 すでに「保母」が「保育士」、「看護婦・ナース」は「看護師」、「スチュワーデス」は「客室乗務員・フライトアテンダント」といった言い換えは日本でも一般に定着している。

 しかし人種、民族、ジェンダー、LGBTなどポリティカル・コレクトネスの範囲は広大で、今後も多くの言葉が変化に晒されることになりそうだ。

©iStock.com

 日本以上にポリティカル・コレクトネスに敏感な海外でも多くの言葉が変化している。一例をあげれば、男を前提とした職業では、「ポリスマン」「ファイアーマン」「ビジネスマン」などが、それぞれ「ポリスオフィサー」「ファイアーファイター」「ビジネスパーソン」と変わってきた。

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 一方で、特定の宗教を肯定してしまうという配慮からクリスマスに「メリークリスマス」ではなく、「シーズンズ・グリーティング」とするようになったメディアも多いが、まだ拒否反応が強いという。

 言うまでもないが、ポリティカル・コレクトネスは「政治的公正さ」を意味するものであり、デジタル大辞泉では、「人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること」とされている。

 その理念じたいは何ら否定されるものではない。しかし、ただ攻撃するだけの行き過ぎた「言葉狩り」は社会を委縮させ、かえって分断を煽る可能性もある。言葉の使い方や表現の仕方がますます難しい時代となったことは間違いない。

松山ケンイチの発言に物議…「嫁」という呼び方アリ・ナシ論争は「言葉狩り」か?

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