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2021/06/22

引き取られた犬を待つ「生き地獄」

 このような環境で飼育されている犬たちがどうなってしまうのか。私が朝日新聞に引き取り屋のことを初めて書いたのは2015年3月24日付朝刊だ。記事には、14年冬に動物愛護団体が内部の様子を撮影した写真を添えた。

15年3月24日付朝日新聞朝刊の一部

 同じ動物愛護団体が15年12月に再び、この引き取り屋の様子を確認、撮影した。そうしたところ、記事に掲載した写真に写っているパピヨンと見られる犬がまだ、せまいケージに入れられたまま飼育されていた。

 被毛の状態がかなり悪く、四肢や臀部(尻のあたり)については脱毛も見られる。この写真が撮影された際、動物愛護団体とともに内部を確認した獣医師はこう話す。

「記事に載った写真に写っていたパピヨンと見られる犬は、皮膚炎にかかっているのになんの治療もなされていませんでした。あの環境ですから、ノミやダニなどの感染からは逃れられません」

 このパピヨンも含め、散歩など適切な運動をさせてもらっていないことが明らかな犬がほとんどで、なかには獣医師による治療が必要な状態の犬も少なくなかった――と指摘する。いくつかの事例をあげてみる。

 爪が伸びっぱなしで、毛玉に覆われている犬。

 精神疾患の一つである、常同障害の症状が出ている犬。

 緑内障のため、眼球が突出している犬。

 既に、目が見えなくなっている犬。

 さらには、狭いケージの床面は金網状になっているため、前脚が湾曲したり、後ろ脚が骨格異常を起こしていたり、という犬たちも……。列挙していけばキリがないほどに、悲惨な状態だった。獣医師は言う。

「狭いケージに入れられたまま、適切に管理されずに飼養されているために、犬たちはボロボロの状態でした。猫も数多くいて、巻き爪が肉球に食い込んでいる子や、耳の後ろをかきむしったために肉が露出している子もいました。しかもケージには糞尿が堆積しており、本当に最悪の環境。動物愛護法に違反しているのは明らかでした」

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「奴隷」になった犬、そして猫

太田 匡彦

朝日新聞出版

2019年11月20日 発売

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