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ノスタルジックなメロディがポイントに

 こうしたシティポップ・リバイバルのきっかけの一つになったのが、2010年代初頭に生まれた「ヴェイパーウェイヴ」と呼ばれるジャンルの勃興だ。ヴェイパーウェイヴとは80年代から90年代の楽曲をサンプリングして加工し、どことなく甘美なノスタルジーを感じさせるテイストが特徴の音楽。ゆったりとしたテンポのエレクトロポップを、高度消費社会やレトロなコンピューターのイメージをちりばめた映像と共に発表していたアーティストたちのあいだで、かつての日本のポップスがネタ元として“再発見”された。

「2014年から2015年当時は、菊池桃子さんのことを知っている人は本当に少しでした。ただ、その中でもダン・メイソンというフロリダ州出身のヴェイパーウェイヴのアーティストは2015年のアルバム『Miami Virtual』に収録された『Waiting For You』という曲で『Mystical Composer』をサンプリングしています。おそらくノスタルジックなメロディがポイントになったのではないかと思います」(パトリック・セント・ミシェルさん)

Night Tempoも菊池桃子の大ファン

 また、見逃せないのが、やはりシティポップをネタ元にした「フューチャーファンク」というジャンルで人気を広げてきた韓国・ソウル出身のDJ/プロデューサー、Night Tempoである。竹内まりや「Plastic Love」現象の火付け役となるなどここ数年のシティポップ・リバイバルの立役者の一人となってきた彼も、かねてから菊池桃子の大ファンであることを公言してきた。

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竹内まりや ©文藝春秋

 2019年からは「昭和グルーヴ」シリーズと銘打って数々の80年代のポップソングの公式リエディットを手掛けてきたNight Tempoだが、9月10日には、その第10弾となる『菊池桃子 – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』が配信リリースされた。

 

 念願が叶ってのリリースを実現させたNight Tempoは、菊池桃子の魅力をこう語る。