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「白星が一番の薬」だった大関貴景勝

 照ノ富士は落ち着いた取り口で、初日から8連勝。しっかり組み止めて低い姿勢を保ち前に出る。隙がない。相撲に関しては言う事はない。しかし、私は見逃していませんでした。初日の横綱土俵入り。初めての本場所での土俵入りは緊張しないはずはないと見ていました。ゆっくりとした威風堂々としたせり上がりに、そんな心配も吹き飛びました。

 四股を踏み終わり、仕切り線から西の徳俵に帰る時の足が、実は逆だったのを気付いた人は私だけだったでしょう。とはいうものの、私も自信がなく次の日に本人に聞きました。答えは……「よく分かりましたね」と。

 先場所休場の大関貴景勝は休場明けの角番で厳しい土俵が続きました。

 初日から3連敗。痛めた首の影響もあると思いましたが、相撲内容は頭からしっかり当たっていたので大丈夫と見ていました。4日目の豊昇龍戦では、組まれながらも小手投げで振りほどき、なんとか白星を挙げる。「白星が一番の薬」とはよく言ったもので、相撲内容がどんどん良くなっていきました。

豊昇龍(手前)を下した貴景勝(9月場所4日目) ©時事通信社

 私の独り言ですが、豊昇龍戦で差された場面での「小手投げ」に、とても可能性を感じました。貴景勝は押し相撲で廻しを取られると相撲になりません。廻しを取られた時の対処法として、突き落としの要領で体を開き、小手を振る事で相手が嫌がりそこからまた、押していく事ができるのではないでしょうか。すみません、ただの独り言です。

大栄翔の見事な金星

 大関正代は、初日に豊昇龍にうまく取られ黒星スタート。今場所は立ち合いから前に出る相撲が出ていたものの、中日を終えて5勝3敗。

 新関脇の明生は、相撲内容は悪くないのに中日を終えて3勝5敗。気合いは入っているので、後半に期待したものです。

 前半、相撲内容が良かったのは御嶽海、霧馬山、阿武咲、隠岐の海、妙義龍、千代の国、遠藤の面々でした。

 中日を終えて全勝は照ノ富士。1敗で妙義龍。照ノ富士の独走で「このまま決まりではないか?」と思わせる展開でした。

 誰が照ノ富士を止めるのか。止められるのか?

 それは大栄翔。

 照ノ富士に廻しを与えず我慢した後、突きを爆発させました。肘のサポーターも飛んでいくほどの勢いで照ノ富士を押し切ったんです。見事な金星でした。

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