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「照ノ富士を誰が止めるのか。注目していた力士は…」“元安美錦”安治川親方の9月場所総評

けっぱれ! 大相撲――2021年9月場所

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私も妙義龍との対戦は嫌だった

 照ノ富士は12日目の明生戦で星を落とし、14日目を終えて12勝2敗。

 追い掛けるは前頭10枚目の妙義龍。11勝3敗で千秋楽を迎えました。

 34歳のベテラン妙義龍が13日目に貴景勝に勝ち、14日目は立ち合いから正代の前廻しを素早く引きつけて、一気の寄り切り。これ以上ない最高の相撲で勝ち、千秋楽に臨みました。

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 私も何度か妙義龍との対戦がありますが、正直、嫌でした。妙義龍の良さは、立ち合いからのスピードの速さですが、私が一番嫌だったのは立ち合いで当る「角度」。低い姿勢で当り、そこから伸びてくる。まるで、飛行機の離陸のように一気に押してくるのでした。14日目の正代戦の相撲がそれです。この相撲が優勝争いの最中で出たという事は、ちょっと信じられません。素晴らしい。

 さあ、千秋楽はどうだったでしょう。

最後まで横綱らしく取り切った

 千秋楽の結果は、妙義龍が本割で明生に負けて、照ノ富士の取組を待たずに優勝が決まりました。妙義龍が硬くなったのか、明生が落ち着いていたのか。

 照ノ富士は優勝が決まった後での結びの一番でした。

 最後まで横綱らしく取り切りました。初めての横綱としての本場所は、とにかく疲れたでしょう。一人横綱としてよく頑張りました。

千秋楽で正代(左)と立ち合う照ノ富士 ©時事通信社

 今場所もたくさんのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。

 来場所は久しぶりに福岡で九州場所が開催されます。

 一年納めの九州場所はどのような展開になるのか、今から楽しみです。福岡といえば美味しいものがたくさんありますが、我慢して自粛に専念致します(涙)。

 この自粛中、皆さんは家でどんな楽しみをみつけましたか?

 私は、晩酌をしながらバレエを観るのが楽しみです。熊川哲也さんの踊りに衝撃を受けました。また、ロシアのワガノア・バレエ・アカデミーの特集など好きで観ています。基礎練習の大切さや舞台にかける熱い思いなど、相撲に通ずるところも感じます。

 特に好きなのがボリショイ・バレエ団のプリンシパルを務めた「スヴェトラーナ・ザハーロワ」。「白鳥の湖」や「ラ・バヤデール」など夢中で観ています。興味のある方は是非。

 相撲のコラムという事を忘れていました(笑)。

 また来場所も宜しくお願い致します。それでは、へば!!(元安美錦 安治川)

「照ノ富士を誰が止めるのか。注目していた力士は…」“元安美錦”安治川親方の9月場所総評

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