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「子どもの偏差値が上がらない!」と悩む親がすべきたった1つのこと

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中学受験撤退を決めるときに親がしなければいけないこと

 中学受験に限ったことではない。巷には子育てに関する情報があふれている。“ベスト”を選ぼうと思うと、そのすべてを吟味しなければいけない。血眼になってネットを隈なく検索することになる。すると、目の前の子どもが見えなくなる。これが最悪だ。

 子どもの可能性を探るために、あれこれ試してみることは悪いことではない。しかし必ず子どもを見てほしい。目が輝いているか、体が躍動しているか、心が安らいでいるか。

 世の中のセオリーとは違っていても、子どもの目が輝いているのなら、それはその子にとって正しい選択だ。いろんな育児書や受験テクニック本に書かれていることでも、それをやらせることで子どもの目が死んでしまうなら、すぐにやめたほうがいい。正解がない時代の正解は、子どもの目を見て判断する。

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 中学受験の日々のなかで、子どもの目が死んでいるようだったら要注意。どうしたら目に輝きが戻るのかを試行錯誤してみてほしい。ただしここでも、迷ったら引き算だ。

 目に輝きが戻ったら、それを維持することを第一に考えてほしい。目が輝いているのに、欲張ってさらに新しい何かを試す必要はない。「うまくいっていなければ何かを変えろ。うまくいっているなら変えるな」の原則どおりである。

ポイントは子どもの「目の輝き」だという ©iStock.com

 目が輝けばすぐに成績が上がるというわけではない。目は輝いたけれど成績は下がったということもあるかもしれない。それでも、長い目で見たら、目が輝くほうを選ぶべきだと私は思う。

 無理矢理縛りつけてでも勉強させれば目先の偏差値は上げられるかもしれないが、そんなことはずっとは続けられない。でも子どもの目が輝く方向をいっしょになって指し示し、そちらへ進む子どもを応援し続けることならできる。

 逆に、何をしても目が死んでいるなら、中学受験という選択がいまのその子には合っていない可能性が高い。それであれば勇気ある撤退も視野に含めるべきだ。

 ただしその場合でも、「中学受験よりももっと大事なものが見つかったから」のように、撤退の判断を前向きに意味づけるのが親の責任だ。「あなたのやる気がないから」「あなたにはまだ早かった」などと、子どもの落ち度に結びつけては絶対にいけない。それは深く長く子どもを傷つけることになるから。