エネルギー価格も大幅上昇…GDP成長率は2四半期ぶりのマイナス
ここにきて、世界的な脱コロナによる需要回復と中国・欧州などが推し進めたやや過激な脱石炭の動きの反動もあって、今度はエネルギー価格が大幅な上昇に転じました。原油価格のトレンドで言えば、2020年に1バレル20ドル台と歴史的な安値だった状態から一気に原油価格が上昇し、いまや1バレル80ドル台まで上昇してきました。エネルギーのほぼ全量を輸入に頼る日本がこれに直撃されないわけがなく、目の前のガソリン価格だけでなく、これから冬を迎える北海道では灯油の価格も大幅に上昇する見込みです。
岸田政権が爆誕し、なんか突然衆院選になったわりに、足元の雇用についてはさしたる争点にもなりませんでした。10万円が政府から降ってくるかどうかでは大騒ぎするのに、なぜこの辺の状況についてはみんな静かなんでしょう。お前らが成功だ失敗だと騒いでいるアベノミクス以前のところで、コストプッシュ型の悪性インフレが到来するかもしれないんですよ。
いずれにせよ、雇用も所得も拡大の動きは鈍く、景気は回復の途上にあるとはいえ、芳しい状態にありません。さらに、ここに来て7-9月期の実質GDP成長率は、前期2020年度比で年率マイナス3.0%となり、2四半期ぶりのマイナス成長になってしまいました。オリンピックで景気拡大じゃなかったのかよ、と思い返せば長雨は降るわ、オリンピックは無観客だわで、さっぱり盛り上がらなかったから仕方ないんですよね。
もう日本はスタグフレーション待ったなし
そんなわけで、年末商戦も飲食店を中心に力強い消費を期待できる状況になく、子ども全員に10万円配るの配らないのという地味で小さい支援策ですったもんだしている状態でして、岸田政権が大盤振る舞いの財政出動をしてくれる可能性は低そうです。政調会長に高市早苗さんがいたはずなんですが、このしょぼい雰囲気はいったい何なのでしょう。
そこにきて、前述の通り資源高となり、さらには円高になる限りにおいて、景気はどうも良くないのに資源高で価格への転嫁は待ったなしだぞという話になると、もうスタグフレーション(不況で賃金は上がらないのに物価だけ上がる)待ったなしですよね、これ。