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「みんなで等しく貧しくなろう」なのか?

 海外に目を転じれば、各国も景気回復の途上ではあるけれどもコロナ対策で拡大した財政を再度引き締め直したり、カネがジャブジャブになってしまったので金利を上げたりする「出口戦略」を模索するようになりました。景気を冷ます効果があるけど、歯を食いしばってでも金利を上げないと駄目だというセントラルバンカーがいることが良いことなのかどうか。

 その結果として、ひたすら金融緩和している状態の日本は円安で、一方で資源高の状態は止まらない以上、物価が上がり始めたら貧困層は大打撃であります。ほぼ完全雇用でみんな仕事はあるのに給料が安いので欲しい物が買えず貧しいというのは、図らずも戦後日本が夢見たソビエト連邦みたいな社会主義国家の完成とも言えます。みんなで等しく貧しくなろう。

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 看護師の給料が医師に比べて4割ぐらいなので安いよね、どうにかしないとね、ということで議論がスタートしたはずが、いつの間にか「医師の給料が高い」という話になるのと同様、我が国は社会的に相互監視の目が強すぎて、少しでも出る杭があったらみんなで叩く仕組みが出来上がってしまっているかのようです。

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物価上昇の原因を、国際的に見てみれば

 勝手に国力が衰退する形で、物価上昇の目標であった2%を超えるインフレが実現しそうな雰囲気で、「ついにアベノミクスが目指したデフレ解消が達成か?」となるわけですが、これって単に私たちが世界水準から見ると相対的に衰退の度が酷すぎて、国際的な購買力を落としたという経済失調が原因なんじゃないかと思うんですよね。よく見てみれば、今回の成長率マイナスも、単にコロナで国内需要が減少しただけでなく輸出もゴボッと減ってしまっているので、世界的なモノ詰まり、半導体や資源不足の中で日本は一足先に先進国の中では厳しい状態になっているのかもしれません。

 このままエネルギー価格も上がってしまうと、冬に暖を取る発電もままならない可能性があります。困ったもんだなあと思いながら、市況とにらめっこする日々が続きそうですね。

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