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「お母さんと名字が違うからかわいそうってどういう感覚なんだろう…」事実婚の両親のもとに生まれた娘が抱く“選択的夫婦別姓”への素直な思い

『「選択的」夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし、考えたこと』より #2

2021/12/19

 日本において婚姻届を提出する際には、必ず夫婦どちらかの姓を選択しなければならない。こうした制度に疑問を呈する人の中には、婚姻届を提出せず、夫婦別姓の事実婚という生き方を選択する人たちもいる。そうした両親のもとに生まれた子どもは、母、もしくは父と姓が違うことを一体どのように受け止めるのだろうか。

 ここでは、ソフトウェア会社社長で、自身も選択的夫婦別姓の権利を求める青野慶久氏の著書『「選択的」夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし、考えたこと』(ポプラ社)より、別姓母娘への取材を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

©iStock.com ※写真はイメージ

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夫婦別姓を選んだ家庭の子ども

 小池真実さんとお母さんの内山由香里さんは、血縁関係にあり、同じ家に住み、仲もいい。ただ、姓だけが違う。「お父さんと私たち兄妹は同じ名字で、お母さんだけが違う」ことを軸に、2019年、真実さんは1本のドキュメンタリー作品「うちって変ですか?」をつくりあげた。

 このドキュメンタリーは、結婚と姓の変更についての解説を踏まえつつ、別姓を望んだ母の由香里さんと同姓を望んだ父の幸夫さん、真実さんの同級生たち、そしてサイボウズ青野慶久氏などに取材を行ない、選択的夫婦別姓の必要性を訴えるものだ。結婚にも姓の変更にも馴染みのない同級生たちのために、「婚姻届を提出して仕事上だけ旧姓を使う〈ソフトな夫婦別姓〉と、そもそも婚姻届を提出しない〈ハードな夫婦別姓〉がある」と嚙み砕いて説明するなどの工夫がこらされている。

真実さん「私自身、本当に『夫婦別姓』って言葉を知らなかったんです。恥ずかしながら、政治にも興味がなくって。なにより、お父さんと私たち兄妹は小池、お母さんは内山っていうのが、当たり前だったんですよね。どうしてうちは別姓なのって聞いたことも……というより、気になったこともありませんでした。玄関にはハンコが2つ置いてあって、『小池さんにお荷物です』と言われたら小池を押すし、『内山さんにお荷物です』と言われたら内山を押す。それが我が家の日常なんです」