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担任は「ごめんね」「みんな、一緒だったんです」

「中3になってすぐ、『担任が嫌なので、クラス替えをしてほしい』と言っていました。『それはできないでしょ』と伝えたのですが、翌日も『担任の先生が嫌だ』と言っていたんです。私は『まだそんなこと言っているの? 社会に出たら、ウマの合わない人は出てくるよ。今年は先生とではなく、友達と思い出をつくりなさい』って言ったんです。その後、言わなくなりました」

バスケットボール部に所属していたサトルさん(仮名)

 それでも不安は続いたようで、友人とのLINEの中で、担任に対する不安を投稿していた。ただし、報告書には、LINEのことは書かれていない。サトルさんが亡くなったとき、担任は「ごめんね」「みんな、一緒だったんです」と言っていた。「なんでそんなことを言ったのか?」と言動が不思議に映った。

「当初は、サトルはまじめなので、『宿題の未提出が自殺の原因なのだろか?』と思っていました。その後、校長は『進路で悩んでいた』と説明したんです。これでは辻褄が合わない。すると、地域の人から文科省が定めた『学校事故対応に関する指針』や『子供の自殺が起きたときの背景調査の指針』があることを教わりました。まずは学校で調査をしたのですが、どうしたら説明してくれるのだろうと思い、弁護士を探しました。弁護士の同席のもと、詳細調査をお願いしました」(アカネさん)

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 そもそも、宿題はどんなものがあったのか。

 調査報告書によると、始業式に提出しなければならない宿題は、(1)答え合わせをした理科のプリント、(2)数学のプリント集、(3)数学のワーク、(4)保健体育の「体話」(親子で取り組むストレッチ)、(5)特別活動の調べ(高校の体験入学のまとめ)、(6)標語、(7)夏休みのしおり(生活の記録)――。このほか、(8)通知表も、保護者のコメントを挿入して提出することになっていた。このうち、提出したのは、(1)と(3)。(2)は紛失したと担任に報告。このほかは、忘れているのか、していないのか確認していない。

 帰りの会が終わった後、宿題未提出の人を対象に、集団指導が行われた。このときは6人が対象だ。このとき、サトルさんに担任は「持ってきなさい。提出期限は今日だよね。ちゃんとやって出しなさい」と指導した。このときの様子を、別のクラスの生徒が見ていたが、担任について「急に怒鳴ったり、静かになったりで、何を言っているのかわからなかった」と証言している。

 その後、特に宿題を忘れがちだった別の生徒と、宿題を滅多に忘れないサトルさんが個別指導の対象となった。担任は別の生徒には「お前がこんな調子で宿題をしなかったら、内申書を書かないぞ」と言ったという。机を叩いたりもした。担任は調査の中で、持っていた名簿の上を数度指で軽く叩いたが、威圧的ではないと証言した。このときの指導では、担任は「だったら、ちゃんと出せや、こら」などとの言葉遣いをしていた。